築50〜60年の古い事務所を、フルスケルトンからリノベーションして生まれ変わったヘアサロンです。
立地条件や、建物の老朽化による外壁・屋根の全面改修、各種申請手続きなど、通常以上に工程が複雑な案件でしたが、その分仕上がりには深い思い入れのある物件となりました。
オーナー様からのご要望は、「イギリスの倉庫を改装したカフェのようなサロン」という明確なコンセプト。
その世界観を表現するために、素材や仕上げのひとつひとつにこだわりを詰め込みました。
◆ 外観
外壁には断熱性能に優れた住宅用ガルバリウム鋼板を使用し、見た目だけでなく快適な室内環境も実現。
看板にはエイジング加工を施すことで、あえて明るすぎない“ ぼやっとした灯り ”に。
手描きウィンドウサインは 金箔をあしらう特殊な技術で施工。
また利便性の為に設置した通勤用自転車の「バイクハンガー」は、オブジェのようなアクセントになっています。
◆ 内装
空間の主役となるのは、オーナー様 持ち込みのアンティークスピーカーに合わせて造作した、カウンター背面の棚。
一見するとインテリアですが、掃除道具の収納や、カットした髪を一時的にまとめておけるスペースなど、機能面にもこだわりました。
ミラー台やカウンターには、黒皮鉄にエイジング加工を施した特注仕上げを採用。
さらにモルタル仕上げの壁面に露出させたパイプ配管と、そこに設置したオーナーセレクトの海外製デザイン照明が、倉庫のような無骨さと上質感を演出しています。
◆ 間取り・空間設計
天井をスケルトンにして高さを確保することで、限られた面積でも圧迫感を感じさせない空間の広がりを演出。
一角には着付け・メイク・ネイルなど多用途に対応可能なスペースを設け、バーバーチェアを取り入れることで、機能性とサロンの世界観の調和を図っています。
また独立したシャンプー室は、敷地の形状を活かして動線と作業効率を両立。
変形地であることを逆手に取った、無駄のない空間活用をしています。